事業性融資推進法が変える資金調達 第2回~地域金融機関に求められる「目利き力」と「伴走型支援」~

経営

資金の出し手である金融機関のパラダイムシフト

 全3回でお届けしている本コラム。前回は、新たに導入される「企業価値担保権」の概要と、経営者が自社の無形資産を可視化・データ化(DX)して備える重要性について解説しました。
今回は視点を変えて、資金を提供する側である「中小金融機関(地方銀行、信用金庫、信用組合等)」に焦点を当てます。事業性融資推進法は、お金を借りる側だけでなく、貸す側にも大きな意識改革と役割の転換を迫っています。

中小金融機関に求められる新たな役割

金融庁は地域金融機関に対し、単なる資金供給者にとどまらず、事業の将来性を見極める「目利き力」と、企業の成長を支える「伴走型支援」を強く求めています。

(1) 事業性評価を起点とした伴走支援の徹底

 これからの融資審査では、過去の決算書や保有する不動産の価値だけを見て判断することはできません。対象企業のビジネスモデルや、属する業界の動向、経営者の持つ独自のノウハウを深く理解した上で、将来のキャッシュフローを評価する必要があります。
さらに重要なのは融資実行後です。金融機関は継続的なモニタリングを行い、経営課題の解決に向けて事業者と共に汗をかく「伴走型支援」を提供することが不可欠となります。課題解決の実行にあたっては、売上高や営業利益の拡大といった最終的な計数管理にとどまらず、なぜその数字に達しないのか、どうすれば改善できるのかという「具体的な取り組みの支援」が期待されています。

(2) リソースの獲得と外部連携の強化

 しかし、金融機関の実情を考えたとき、すべての行職員に高度な事業性評価のスキルや、多種多様な業界に対する深い知見を即座に求めることは現実的ではありません。また、日々の通常業務をこなしながら、一社一社に対してきめ細やかなモニタリングや伴走支援を行うことは、膨大な時間と労力を要します。
 そこで、地域金融機関が適切な支援を実行するためには、不足するリソースを補うためのネットワーク構築が必須となります。専門的な知見を持つ外部機関や専門家とどのように連携し、組織としての支援力を高めていくかが、金融機関にとって最大の課題となります。

まとめ

 中小企業が自社の無形資産をアピールし、金融機関が伴走支援で応える。理想的な関係に思えますが、両者の間には「言葉の壁」や「リソースの壁」が存在します。この壁を乗り越え、実効性のある事業性融資を実現するにはどうすればよいのでしょうか?上記の視点を考察してみるとSai10は中小金融機関が果たす役割に貢献できる部分が少なくないと思います。それが次回の主題となります。

【次回予告】

最終回となる次回(第3回)は、中小企業と金融機関の間に立つ「第三の存在」に注目します。認定経営革新等支援機関であり、中小企業診断士・ITコーディネータである私(Sai10)が、両者を繋ぐ「翻訳者」としてどのような役割を果たせるのか。地域経済を活性化させる「三位一体のエコシステム」についてお話しします。お楽しみに。

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