再びストーリー策定の大切さ(手段の目的化を防ぐために…)

経営

 日経BPイベント&セミナーでIT Japan2022が22/8/24から26まで開催されました。Sai10はその中で25日に開催されたライプニッツ代表取締役である山口周氏の“IT競争優位を築くために“の30分の講演を拝聴する機会を得ました。
 山口氏はその中でDXの活用について色んなお話が出ました。勿論、その内容を詳細に示すことはできないのですが、いくつかの点でSai10のこれまでお話してきたことと適っているように思いました。山口氏は、“ありたい姿“と”現状“との差を認識して、その”課題“を解決するためにDXという手段を使って売上・利益を向上させていく”、とう流れを説明されました。“DXはあくまでも、ビジョンを達成するための手段に過ぎないですよ”、ということです。Sai10はここに、2つの視点を感じたの述べたいと思います。

AsIs、ToBe、Gapを明確に示す

 ひとつは、山口氏の言う”ありたい姿“=”ビジョン“であり、ビジョンがないと現状との差を示せないから、課題を生み出すことができない、というお話しです。Sai10が22年7月9日に”ストーリーの策定方法“というタイトルで紹介した”AsIs(現状)“、”ToBe(Goal、目標、達成すべきこと、課題)”とGap(問題点、解決すべきこと)“と同じ概念と感じました。
(https://blog-sai10-tm-consulting.com/asis_tobe_gap/)

手段が目的にならないようにストーリーを共有する

 もうひとつは、山口氏のいう“ありたい姿~売上・利益向上”というストーリー。Sai10も何回かに渡ってストーリーの必要性を説明してきました。ストーリーの表現方法の例として22年7月14日のブログに示してみました。
(https://blog-sai10-tm-consulting.com/story-expression/)
結論は、目的・目標を達成していなといけない、ということでした。ここで実験や調査自身を目的とする、悪魔の誘い(とまでは言ってませんでしたが。。。)に乗らないこと、組織長などマネジメント側はきちんとなぜ、何のためにその業務があるのか、目的・目標を伝えること、方法や結果は実務に任せてよい、とも述べてみました。手段の目的化は決してしてはいけない、ことが山口氏の講演の中にありました。山口氏はこれを“やること=Doable”から“提供すること=Deliverable”に意識と行動を変えることが重要という表現を使っていらっしゃいました。

 Sai10がここに示した”手段の目的化“は管理者側、業務執行側の双方がよほど注意していないと陥ってしまう悪魔と思います。手段の目的化の例として有名なのは、学生時代の試験勉強で美しいまとめノートを作るという作業です。作業自体を目的にしてしまい、その内容が頭の中に入っておらず、その内容をアウトプットすることができなければ、合格点を確保するという当初の目的は達成しません。会社の業務でいえば、性能を満たすための改良のはずが、改良自体が目的となりオーバースペックの高価な製品を作ってしまい、売上が上がらない、利益がでない、という結果になる。ビジョンが達成せず、その指標のひとつである売上高・利益が未達となります。

 手段の目的化を防ぐには、目的・目標を明確に意識することです。どうやるか、ではない。“なぜ(Why)”でもよいかもしれない。目的・目標、つまり“ToBe”は、メンバー間で共有して決して忘れず、ぶれないこと(Congruency)が絶対条件になります。手段の目的化についての詳細はまた、別の機会で

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