品質に関して、意識を向上させましょう、的な記事は至る所に溢れています。今、“品質意識向上”でググってみますと、391M件ヒットします。それだけ、世の中には品質意識向上が叫ばれています。という訳でSai10なりの品質に関する意識について述べてみたいと思います。
そもそも品質ってなんだ?ということから始めるべきとは思いますが、まずは、齊藤の得意な製造業を生業とする企業で産み出される商品を市場へ供給する、という流れの中での商品そのものの品質について考えてみます。そういう観点では、飲食業のように、厨房で調理して、顧客に食事を提供することや、ある情報から分析、考察を加えて報告書というようなDeliverable(成果物)を提供するサービス業のようなものにも品質は勿論、存在しています。そして、これから記述する品質にも十分に当てはまると思います。つまり、商品とあっても、経済学でいう“財(特に経済財:商品とサービス)”みたいなもの(Sai10は経済学の専門家ではありません。中小企業診断士の1次試験の科目の一つである経済学・経済政策、で聞きかじったくらいです。正確でなかったらごめんなさい)と広く捉えてください。
品質には2種類ある
品質が想定通りに実現しないと、“品質問題”=“企業の損失”となります。つまり、品質問題はコストに跳ね返るため、“コストを削減すること、つまり品質問題の発生を抑制すること”は企業活動の重要な活動項目のひとつです。その企業・事業に関する品質問題は大きく分けて2つあります。それは内部の品質問題と外部の品質問題です。
内部品質問題
内部品質問題とは、企業内で発生した・させてしまった意図できなかった結果(不具合)です。商品の仕様、性能、短期的な寿命等、企業内の基準を満たさない状態を指します。企業内で発生する余分な・期待されない金額を減少させたい方向に進ませる活動が内部品質向上施策です。ここでの品質向上施策とは、例えば、歩留向上や材料使用効率向上が上げられます。もっと広い意味では、やり直し作業時間の発生抑制や短縮、または設備稼働率向上等の生産性向上も品質向上施策に含めている企業・事業もあります。
外部品質問題
一方、外部品質問題とは、企業外の所謂、対価を払った顧客との契約に合致しなかった内容に対する補償(Compensate)する部分を指します。22年6月20日の日経ビジネスの特集にあったように企業が提供する商品やその商品を提供する際のプロセスに関して顧客との間に取り決めた契約を遵守しないことも外部品質問題です。しかし、今回は、このような“不正”な品質問題ではなく、意図はしていないが、残念ながら、顧客側で商品の不具合が発生した場合、商品提供側が保証する部分を外部品質問題として取り扱います。例えば、代納費用、再出荷費用が該当します。商品の回収(リコール)になれば、その対応期間の機会ロスのようなものも含める場合もあるかと思います。訴訟にもなれば、訴訟費用も含まれるでしょう。
いずれの品質問題も単位は金額が基本です。外部品質の低下は顧客に迷惑をかけることになるので、企業は内部で内部用の検査基準を設けて検査することにより、企業が顧客に約束した品質を担保するように努力することになります。一般的に言えば、内部で努力することが奨励されるので
内部品質問題対応コスト>外部品質問題対応コスト
となります。通常は内部品質問題が落ち着いていると外部品質問題の発生率は下がります。内部品質問題がたびたび発生していると外部品質問題が顕在化ことがしばしば発生します。したがって、まずは内部品質問題を減少させる、高い水準で安定させる活動が必要となります。これは言わば自分たちの決めたルールで自分たちが実行できるものであるから、管理しやすもの・管理すべきものと言えます。
品質問題における意識とは
では、品質は、誰が考えるのですか? 経営者ですか? 部門長ですか? 製造部ですか? Sai10は品質を考えるのはその事業に関わっている人全員と思っています。事業活動はチームです。チームならどの部門が欠けても事業遂行は成り立ちません。“商品は工場で生産されるから、営業部はその商品の品質とは無関係である。顧客と同様、品質の悪い商品を売らされて、顧客に叱られて、いい迷惑だ”と思っていませんか?(すごく少数派とは思ってはいます) 営業部は営業部の業務の中で自社商品・サービスの品質を上げる活動をすべきなのです。この点については、また別の機会にお話したと思います。
また、自社は、“AIが組み込まれた全自動製造装置で生産しているから、人の意識が入り込む余地はありません”と言えるところもあるかもしれません。将来は、ひょっとすると品質意識向上なんて死語になっているかもしれません。しかし、まだまだ、人が判断することは多々ありそうです。当面は、“品質意識向上とその施策“という言葉は使えるし、活躍すると思います。次回は、商品の関係者が品質に関する意識をどう高めるか、その意識・考え方のようなことを2つの視点でお話します。
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