論理と人の気持ち(感情)は経営の両輪

人的資本経営

 25年7月7日号の日経ビジネスの特集は、“オリックスの変身経営”でした。Sai10はその中で、“経営の背骨、「論理と人情」学ぶ”というコラムに注目しました。

「論理と感情」の両輪で企業は成長する

「人は論理によって説得され、感情と利害によって動く」

 このカーネル・サンダースの言葉は、経営の本質を突いています。ビジネスの世界では、数字や計画、戦略といった「論理」が優先されがちです。しかし、実際に現場を動かすのは「人」であり、そこには感情(人の気持ち)があります。どれだけ完璧な戦略も、どれだけ緻密なKPI(Key Performance Index:重要業績評価指標)設計も、人の感情を無視していては、持続可能な成果には結びついていかないでしょう。Sai10もこれまで、新しい経営資源として感情を持つ“新しいヒト”を定義してみました(24年11月4日 https://blog-sai10-tm-consulting.com/new-management-resources/)。

 私たちが真に目指すべきは、「論理による納得」と「感情による共感」を同時に得ることです。そのための鍵が、感情に寄り添ったチームづくり=Team Buildingと心理的安全性の確保です。

 チームとしての論理と感情については、徳川家康を例にして考察してみました(23年12月6日(https://blog-sai10-tm-consulting.com/organization-by-tokugawa-ieyasu/)。

感情に寄り添うリーダーシップ

 もう一つ、感情(人の気持ち)を重視したビジネスパーソンの行動について示している『7つの習慣』にある「第5の習慣」は、まさにこの考えを実践に移す指針と思われます。
 「理解してから理解される」──この姿勢こそが、チームメンバーの信頼を得る第一歩です。
 たとえば、部下がミスをしたとき、すぐに指摘するのではなく、まずは「なぜそうなったのか」を相手の立場で理解しようと努める。相手の感情に共感し、背景を受け止めることで、ただの失敗は「成長のストーリー」へと昇華します。こうした共感の積み重ねは、「信頼残高」となり、チーム内に安心して発言できる場心理的安全性をもたらします。

チーム力は感情から生まれる

 心理的安全性が高まることで、メンバーは遠慮なく意見を出し合い、助け合い、互いに補完し合うようになります。メルカリのシャッフルランチ、Slackによる感情共有、社員食堂での非公式な対話──これらは一見、業績に直結しないようでいて、信頼や共感を生む「感情の土台」として機能しています。
 オリックスのように「論理と人情」を両立させる経営では、社員が現場で汗をかく文化があり、それが60年間赤字なしという驚異的な実績を支えています。
 ここで重要なのが、「人材を資源ではなく“資本”と捉える」という人的資本経営の視点です。Sai10もこれまで何度か人的資本経営について、コメントしています。経営資源として“新しいヒト”を定義してみたことは前述しました。そのほかに社員の働きがいを測定してみる方法(24年8月31日 https://blog-sai10-tm-consulting.com/human_capital-3/ )や一人ひとりの成長を実現するための人的資本経営の必要性についてもかんがてみました(24年6月4日 https://blog-sai10-tm-consulting.com/human_captial-2/ )

ストーリーの力:論理と感情をつなぐ架け橋

 人は数字や計画では動きません。感情と同程度に必要な要素は「ストーリー」です。
 ストーリーとは、論理で「なぜそれをやるのか」を示し、感情で「どうして自分がやりたいのか」を結びつける力というのがSai10の理解の基本にあります(22年6月22日 https://blog-sai10-tm-consulting.com/story/ )。このストーリーが、社員一人ひとりの中に理解され、浸透し、芽生えるとき、チームは真に強くなります。
 論理と感情はどちらが優先するものではなく、経営の両輪です。Sai10は以前、品質向上を例として、AsIs-ToBe-Gapを示したストーリーと感情について示してみました(23年11月30日 https://blog-sai10-tm-consulting.com/quality-month-2023/ )。論理だけ、感情だけのすとーリーは正論の部分もあるかもしれませんが、ストーリー策定の目的である

理解していただき、協力を得る

ことは実現しないことをいつも気にとめていることが必要とSai10は思っていて、それを実践しているつもりです

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