事業再生(その4:事業再生計画書(はじめに 計画書の概要(企業の概要))

事業再生

 当面のアウトプットである「事業再生計画書」および「経営改善計画書」の
はじめにと“計画書の概要
の項目に何を記述するか、整理したいと思います。

はじめに

 “はじめに”は債務者企業の社長が、現状への危機感と事業再生・経営改善への覚悟を表明し、金融機関等の関係者に理解と協力を求めるための重要なメッセージです。全体で500字程度のシンプルな構成が目指します。中小企業基盤整備機構が提供する 経営改善・事業再生研修【実践力向上編】 P14
(https://www.smrj.go.jp/supporter/training/nintei/regional3/)
では、以下のような内容が示されています

「窮境原因、窮境の状況」、「経営改善施策」、「金融支援のお願い」等、現状への危機感、事業再生・経営改善に取り組む覚悟を昭らにし、経営者自らが記載する

示すことが求められています。記載項目の構成案は以下のとおりです。

1.事業概要(約100字)

 まず、貴社の事業内容、簡単な沿革、そしてこれまでの業績推移を簡潔に示します。かつては順調に事業を進めてきたことに触れることで、現在の状況に至るまでの背景を明確にします。

2. 窮境の原因と背景(約100字)

 “しかし”という接続を用いてこれまでの順調な事業から一転して、事業再生を余儀なくされるに至った窮境の原因とその状況を具体的に記述します。これにより、現状に対する危機感を共有します。

3. 事業再生計画書策定の経緯(50字程度)

 窮境状況を打開するために、取引金融機関の理解と協力を得るべく、本事業再生計画書を策定するに至った経緯を説明します。


 ・取引金融機関様のご理解とご協力を仰ぐべく、本事業再生計画書を策定いたしました。
 ・今後安定した収益の獲得と資金繰り確保、及び借入金の円滑な返済のために、事業再生計画書を作成いたしました。
 ・取引金融機関様のご理解とご協力を仰ぐべく、本事業再生計画書を策定いたしました。

3.経営改善施策のエッセンス(150字程度)

この窮境状況を打開するための具体的な経営改善施策のエッセンスを記述します。

・固定費削減施策
・変動費の見直し
・資産の健全化による適正な純資産の実現

主要な施策の方向性を示すことで、再生への道筋を明確にします。この部分は、具体的な施策が策定された後に記載することになります。

4.外部機関(主に金融機関に向けて)への協力依頼(約50字)

最後に、金融機関をはじめとする外部機関に対し、本文書への理解と、借入金返済に対する支援など、事業再生への協力を依頼する言葉で締めくくります

5.“はじめに”の末尾

・作成日付
・文責者(ふつうは社長)の肩書と氏名

計画書の概要

 本項目は以下の4つの柱で構成されています。この“計画書の概要”の記載内容を見るだけで、債務者企業の現状(AsIs)と今後の改善計画(Gap)及び達成すべき目標(ToBe)が示されています。Sai10が何回か示しているAsIs-ToBe-Gap(https://blog-sai10-tm-consulting.com/asis-tobe-gap-2/)が表現されています。AsIsは事実を示すだけですが、ToBeとGapは債務者企業が様々な検討結果から得られるものです。したがって、今回は、特に1. 企業の概要 の記載内容に焦点を当て、再生計画全体の完成後に他項目を再度整理する方針とします。

1. 企業の概要

 以下の内容を示していきます。表の形式をとっても良いと思います

・事業者名
・住所:本社、工場、店舗等複数あれば、すべて網羅して記載します
・業種:日本標準産業分類の大項目から選択します
・設立年月日
・事業内容:最終ユーザーを意識した内容で示すとより良いと思います
 例:金属製品製造→自動車用金属部品製造
・代表者
・資本金
・従業員数:正社員だけでなく、いわゆるフルタイムで従事する従業員は含めます。パートタイムやフルタイムでないアルバイトの割合が多い場合は、別途記載するか、その旨を明記します。役員は含めません
 例:正社員10名、アルバイト30名
・事業者の沿革
・株主構成:氏名、株数と事業者との関係
・役員構成:氏名と役職
・財務状況
 B/S:直近
  現時点ではコメントは空欄とします
 P/L 直近3期程度
  同様に、コメントは空欄とします
・金融機関取引状況:金融機関名、直近3期程度、借入金額、シェア

この項目の多くはメイン行が作成する“債務者概況表”が入手できれば、それをベースに記述することが可能です

その他の計画書の概要

企業の概要以降は以下の項目を記載します。これらは具体的な施策が策定された後に記載することになります。

2. 課題・問題点(財務の状況、損益の動向 窮境原因)

3. 経営改善計画の基本方針

4. 計画期間・改善目標

次は、現状(AsIs)を可視化するために、“ビジネスモデル俯瞰図”と“企業集団の状況”についての整理を進めます。これらは情報の漏れや重複のないように、網羅的に記載していきます

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