経営戦略でストーリーと言えば、一橋大学の楠木健先生が執筆された”ストーリーとしての競争戦略(東洋経済新聞社:2010年)”がとても有名です。が、ここでSai10が述べるストーリーとは、仕事上の業務は勿論、試験勉強、家事にまで応用できるとても幅広い概念で活用範囲が広いと思っています。
なぜ、ストーリーを作ることが重要なのでしょうか。Sai10は次の2つの理由があると思っています。
人の協力を得る(人を説得する)には、論理が必要だから
なぜ、ストーリーが大切か。それは、
人は論理によって説得され、感情と利害によって動く
から。これはケンタッキー・フライドチキンの創始者カーネル・サンダースの言葉として有名で、ご存じの方も多いと思います。論理が先か、感情や利害が先かという議論はありますが、人がやることなので、両方大切なんだろうと思います。
Sai10がここで言いたいのは、“論理”は、“(人の)感情”と同じくらい大切だ、ということ。何事も一人でできることは制約があるし、一人で生きていくことは普通、困難なので、多くの人の協力を得る(巻き込む)ことが必要な場面はたくさんあります。この協力を得るには、協力者が“腑に落ちる、腹落ちする、納得する”ことが必要で、それには相応の“論理”が要りますよ、ということです。この筋道がSai10の言いたいストーリーです。
トレードオフがトレードオフでなくなる?
ビジネスの現場で“QCD”という言葉があります。これは、元は製造業における生産管理を3つのどのような視点で行うことを示した造語です。3つとは”Quality(品質)“、”Cost(費用)“、”Delivery(納期)“の頭文字を繋いだものです。QCDの全てに高いパフォーマンスを要求されるのが今のビジネス環境です。しかし、最高の品質、最安値、顧客が欲しい時に直ぐに納入できる、という3つ揃うものはそうはない。180円で宇宙に行ける安全な有人ロケットが東京の山手線のようにほとんど待たずに乗れることを現在の顧客、その製品・サービスを利用する/したい人が期待していないから。多くはトレードオフという一方を優先させ、他方は妥協という状況で各々のPros-Cons(Merit-Demerit)を明確にしてどちらか一方を選択する場面がしばしばあります。今回はトレードオフを考えてみましょう。トレードオフが発生している場面では、何を優先するかの理由が普通はあるはずです。与えられている条件下で何らかの優先度を選択しています。
昔、子供向けに「象が踏んでも壊れない」という高級筆入れがありました(今でもあります!)。小学校で象を飼っているところはレアと思いますが、ここで製造業者が言いたかったのは小学校で象に踏まれることを想定しているのではなく、頑丈な筆箱の表現として使っていることです。例えば、年に3回、筆箱を壊す子供を持っている親に値段は2倍するが、コスパも優れていますよ、というようなストーリーを作ったことがこの筆箱製造業者の作戦であり、その成功によって、Cが高いことは、高いQを実現するために、必要な経費であることを訴求している訳です。
トレードオフはあるが、ストーリーを作るとそのストーリー内のものは全て想定内になり、トレードオフになりえない、ということ。これは二律背反するものを両方解決するというものではありません。一見、トレードオフに見えるものでも狙っている市場に対してどういう商品をどう訴求していくか、これでトレードオフ問題が想定内対応に変わっていきます。
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