補助金申請で採択されたい

経営

 2023年もまもなく終了します。
 今回は、補助金、特に“ものづくり補助金”についてSai10なりの私見を述べてみます。Sai10は製造業の経験が長いこともあり、何度かこの補助金申請のお手伝いをしたことがあります。幸いなことに全ての案件で採択されました。この時の印象というか、Sai10なりの考え方を示してみたいと思います。

ものづくり補助金とは

 ものづくり補助金は、経済産業省の事業で2020年3月から1次が開始され、現在は16次の採択発表待ち、17次が27日に公募が開始されました。これまではおよそ3か月間隔で公募されてきましたが、16次と17次には5か月の間が空きました。“ものづくり補助金“というだけあって、ものづくりの中心業種である製造業を意識はしているでしょうが、製造業は、ものづくり補助金申請の40%程度のようです。(https://portal.monodukuri-hojo.jp/dataportal.html)
釈迦に説法の方も多いと思いますが、

“ものづくり補助金“の目的は、17次公募要領による 事業の目的

 中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的な製品・サービスの開発、生産プロセス等の省力化を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援します。

中小企業庁のパンフには...(https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r5/r5_mono.pdf)

雇用の多くを占める中小企業の生産性向上、持続的な賃上げに向けて、新製品・サービスの開発や生産プロセス等の省力化に必要な設備投資等を支援します!

とあります。

 上記二つの記事に共通の用語に赤色アンダーラインをしています。つまり、設備投資を実行して3つの基本要件を実現する3年から5年の事業計画を策定し、それを文書で示す、ということが、“ものづくり補助金(通常枠)”申請のスタートとGoalになります。デジタル枠やグリーン枠等追加された枠については3つの基本要件の他に追加とされる要件がそれぞれあります。

事業計画書の構成は、これで決まり!

 ものづくり補助金申請の中心は、事業計画書の策定にあります。事業計画書は

その1:補助事業の具体的取組内容
その2:将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)
その3:会社全体の事業計画

の3部作となります。各文書には決められたファイル名でPDF形式保存し、申請時に電子申請システムの所定の場所に本PDFファイルを添付する必要があります。その1~その3まで計10ページ以内での作成にご協力ください、とあります。また3つのファイルにするので、その1が6.2ページ、その2が2.5ページ、その3を1.3ページで作成すると、最終的にはその1は7ページ、その2が3ページ、その3が2ページとなり、全部で12ページになってしまいます。12ページはNGかどうかは不明ですが、10ページ以内での作成にご協力を、という指示なら、10ページに収めようとしてSai10は、その1 7ページ、その2 2ページ、その3 1ページ、という割合で策定案を作っていきます

では、各ファイルにどんなことを記述していくかのSai10案を示してみます

その1:補助事業の具体的取り組み内容 には何を記載するか

当社の事業内容

 ここは、申請者様のこれまでの沿革と現在の事業内容を示しています。沿革と現在の事業内容が繋がるように留意します

当社の現状

 ここで申請者様の業界と取り巻く環境を示します。環境には事業環境もありますが、後で導入したい設備投資のことを掲載することは明らかなので、製品やサービスの特徴、それが必要である理由を論理立てて示していきます。決して易しくない製造プロセス、サービスの提供手順が当該製品・サービスに不可欠であることを示します

当社の強み

 ここがその1の中心です。2ページから3ページを費やします。精度の高い加工技術、顧客との良いコミュニケーション、表彰があれば、それも掲載します。多くのクライアント様は謙遜されていらっしゃいます。クライアント様の強みをできるだけ多く記載できるようにお話合いを進めていきます。

技術的課題

 次の解決策に繋げるための課題である必要があります。ここはクライアント様とお打ち合わせの上、次のやりたい解決策に繋げていきます。

解決策

 多くのクライアント様はすでに導入したい新しい設備、ホームページの改修等既に決めていらっしゃいます。したがって、ここは導入する設備が4の課題を解決するために十分な効果をもたらすことを具体的に説明してきけば十分と思います

当事業による期待効果

 想定している新市場への参入や雇用拡大や社会貢献を示していきます

実施体制と各実施項目の主担当者

 各部門の責任者と補助事業全体の進行に基づく担当者を示していきます。社長、技術・品質責任者、経理責任者を決めます。補助事業全体の進行は、8 スケジュール の項目に合わせます

スケジュール

 前述の各実施項目をいつやるか、を示します。設備導入による生産を1年後に開始する目標として計画していきます。

財務状況

 メインバンク等事業経費の内諾状況等を記載し、補助事業実施に問題ないことを示します。直近の決算が赤字でも高い自己資本比率を有していることは安心感を与えます。

その2:将来の展望 で右肩上がり拡大事業に参入していこう

補助事業に関する市場動向

 経産省等の発表資料、業界団体が発表しているデータを用いて補助事業に関する市場が安定して今後の伸長が期待できることを示します。要は右肩上がりの市場に参画していくことを示します。

今後の事業方針

 その1 3に記載した当社の強みとその2 1に示した右肩上がりの市場に対して発揮し、クライアント様の事業が拡大できる機会が十分にあることを示します

売上計画

 具体的な顧客にどれくらいの規模の補助事業が貢献できるか、その引き合い根拠とともに示します。事業規模は年間の売上高(単位:円)で示します。そのため、年間数量(単位:個)と平均単価(単位:円)で示します

政策面への貢献

 災害等対応、地域貢献や雇用創出など政策面への貢献を示します。各加点を意識します。加点には各種認定書が必要な場面が少なくないことに留意します

簡易キャッシュフロー(簡易CF)

簡易CF=営業利益の増分(売上総利益の増分)+補助事業の減価償却費―人件費の増分

等の式を使って、投資回収期間を見積もります。補助事業期間内に回収が終了したいものです。

その3:会社全体の事業計画 で数字としての補助事業必要の裏付けを示そう

 基準年度からスタートして補助事業終了期間(3年から5年)の間の損益計算書を示します。指定により人件費、減価償却費、付加価値額を示します。
 営業利益の計算のもとになる、売上高(多くはその2 3に示してます)、売上原価、販管費、減価償却費の根拠を示します。

以上で必要事項の記載が必要十分になると思います。

 17次の申請は24年2月13日17時から開始され、締め切りは3月1日17時です。2月28日中に申請を完了する目標で検討されていくとよいと思います。

“ものづくり補助金”は日本の中核産業をなす製造業への設備投資促進の意味もあると思います。活用されると生産性の向上(加工技術の承継や加工手順の標準化等)にもつながることが期待できます。

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