経営者・中間管理職がエンゲージメントの推進力

人的資本経営

2025年12月19日に“ぎょうせい”という出版社から月刊税理2026年1月号が発売されました。

Sai10はその中の“従業員エンゲージメント経営・虎の巻”というコーナーに“第10回 経営者・中間管理職がエンゲージメントの推進力”という題名で6ページものの記事を書きました。今回はこの記事について簡単に触れてみたいと思います(全文はぜひ、月間税理2026年1月号をご覧ください!)

月間税理26年1月号 目次の一部(Sai10の執筆部分が目次に示されています)

従業員エンゲージメント経営・虎の巻

『月刊税理』では、毎年テーマを定めた連載企画が複数設けられています。2025年の「虎の巻」シリーズは、「従業員エンゲージメント経営」をテーマに、全12回で構成されています。Sai10はその第10回を担当し、「経営者・中間管理職がエンゲージメントの推進力」というテーマで執筆する機会を得ました。これまでに掲載された内容(目次)は、次のURLから確認できます。
( https://www.fujisan.co.jp/product/1281680102/b/list/ )

経営者・中間管理職がエンゲージメントの推進力

1.副題

 副題は「経営者の信頼と中間管理職の対話が組織を変える」です。主題である「経営者・中間管理職がエンゲージメントの推進力」という考え方のエッセンスを、この副題に込めました。

2.Question

 本連載の特徴は、冒頭で経営者の悩みや疑問をシナリオ形式で提示する点にあります。第10回では、「中間管理職を含め、社内全体の活気が失われつつある」と感じている経営者が、今後どのような取り組みを行うべきかについて助言を求める場面から始まります。記事全体は、この相談、すなわち「今後の取り組みに関するアドバイス」に対する回答を提示する構成となっています。

3.エンゲージメント向上の効果

 中小企業白書2025を基に、経営理念やビジョンの共有状況と、それが業績に与える効果を示しました。経営者の思いを反映した理念・ビジョンを明確に定め、従業員と共有することで、主体性を育む重要性を論じています。

4.自己決定理論

 エンゲージメント向上の理論的背景として、米国の心理学者エドワード・デシ(Edward Deci)とリチャード・ライアン(Richard Ryan)が提唱した自己決定理論(Self-Determination Theory:以下SDT)を紹介しました。SDTでは、人が自発的にモチベーションを高め、エンゲージメントを持って行動するためには、「自律性」「有能感」「関係性」の3要素が内発的に満たされることが重要であると説明されています。

5.経営者・中間管理職の役割

 経営者と中間管理職それぞれの役割を整理しました。要点を一言で示すと、次のとおりです。

・経営者の役割:従業員が自発的に力を発揮できる環境と仕組みを整えること
・中間管理職の役割:経営層が定めた方針や文化を現場で体感させる「翻訳者・実行者」であること

また、これらの役割がSDTの3要素(自律性・有能感・関係性)と強く結びついている点を表を使って示しました。

6.信頼に基づく双方向コミュニケーションが生み出すエンゲージメント経営

 前章で示した役割を、経営者や中間管理職がどのように具体化していくのか(これがQuestionへの回答)について、次の3点を例示しました。

・組織規模に応じた効果的なコミュニケーション設計
 全体朝礼や定例ミーティングにおける経営者自身の語り、部門横断会議などの情報共有体制

・生産性を高める情報共有の仕組み
 経営状況や売上・生産性指標の「見える化ボード」による共有、クラウド型ツールを活用したリアルタイムな情報共有環境の整備

・信頼と共感を育む双方向コミュニケーション
 「対話→実行→フィードバック」の循環を通じて、組織全体の一体感と信頼を高めること

7.エンゲージメント推進の本質

 まとめとして、エンゲージメント経営の本質は「人」にあり、とりわけ「人との関わり方」が重要であることを強調しました。制度や仕組みは、そのための手段にすぎません。

 経営者は内発的モチベーションを引き出す経営を実践し、中間管理職を信頼して支援する。
 中間管理職は部下の声を受け止め、共に成長しようとする姿勢を持ち続ける。

 こうした取り組みによって、経営者と中間管理職のベクトルが常に揃い、継続的な協働と信頼が生まれ、従業員との共感が広がる。その結果として、企業の持続的成長が期待できる――そのような視点で本稿を締めくくりました。

やはりエンゲージメント経営においても、Sai10のキャッチフレーズである

Make it happen with our firm confidence! (自信を持って仕掛けていきましょう)

は、重要なバックボーンであると改めて感じています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました